ヒロ画廊
有明美術館「島崎蓊助展」
会場風景
9月10日(金)より有明美術館(長野県安曇野市)にて、創立30周年記念特別企画展「島崎蓊助展 セピアに込めた執着と解放」が開催されました。

有明美術館
有明美術館は本年で30周年を迎えるプライベート美術館です。本展覧会は、信州に深いゆかりを持つ蓊助をなんとしても長野、安曇野で紹介したいという松村英館長の熱意のもと実現した特別企画展です。

『中国スケッチ』展示風景

『中国スケッチ』展示風景その2
今回は1944〜45年に戦時下の中国で従軍画家の仕事として遺された、本邦初公開作品も含む全27点の『中国スケッチ』、

『ノオト』展示風景
1950年代から30年以上にわたり蓄積された芸術研究書『ノオト』、

『セピアのシリーズ』展示風景

『セピアのシリーズ』展示風景その2
そして生前では一度きりとなる個展のために1970〜1971年のドイツにて制作された『セピアのシリーズ』と、蓊助氏の画業のみならず、その人間像そのものに迫る意欲的な展覧会となっています。蓊助氏愛用のパレットや中国戦線における記録写真、編集や挿絵を担当した雑誌など、参考資料も充実しています。

参考資料(一部)
鬱蒼と茂る周りの緑によく調和した有明美術館の中で、蓊助の激しくも素朴な絵はとてもよく映えていました。ご来場誠にありがとうございました。
※多数メディアにて紹介されています。
毎日新聞(8/13,14,15,9/10)
朝日新聞(9/7)
読売新聞(8/26)
中日新聞(8/17)
信濃毎日新聞(6/17,9/14)
松本平タウン情報(5/11)
市民タイムス(7/11,9/6,7,12,15)
全国信用金庫協会発行「楽しいわが家」9月号
芸術新聞社 ART ACCESS 「今月のおすすめ展覧会」
有明美術館創立30周年記念企画
島ア蓊助展 セピアに込めた執着と解放
2010.9.10 - 10.11
このたび有明美術館の創立30周年を記念し、特別企画展「島崎蓊助展 セピアに込めた執着と解放」が開催されました。

メーレンにて
油彩、キャンバス / 72.7×91.0cm / 1970年
島崎蓊助は1992年に83歳で没するまで、ほとんどその作品が公になることはなく、生前の個展は1971年に一回行われたのみの「幻の画家」です。しかし激動の時代を駆け抜けたその人生の軌跡、164冊を数えた思想・芸術研究書『ノオト』、そしてその結晶としてのセピアの油彩画を初めとする作品は、現代を生きる私たちに非常な雄弁さを持って何かを語りかけてきます。2002年には群馬県桐生・大川美術館で、2010年2月には東京銀座・ヒロ画廊にて個展が開催され、その業績の歴史的価値が徐々に見直されています。
本展は、1970年にドイツにて制作された油彩画『セピアのシリーズ』、戦時中に従軍画家として赴いた中国での『取材スケッチ』、そして画家としての活動が出来ない期間も継続して執筆された芸術研究書『ノオト』を合わせて展示し、ひとりの人間としての「島ア蓊助」に様々な角度から迫る特別企画展になります。激動の生を全うした蓊助のその生き様は、混迷を極める現代に生きる私たちに様々な示唆を与えてくれることでしょう。
ごあいさつ
有明美術館は今秋(2010年)で創立30周年を迎えます。
この3、4年、30周年には、美術館として最大限に力を発揮できる特別企画展を開きたいと、作家に出会える旅をしてきたように思えます。
20周年には、国際的な存在の浜田知明「初年兵哀歌」全十六点と、関連する新作彫刻の展示が実現できています。
そして今回或るきっかけから、島ア蓊助という画家にいきつきました。絵の前に立った私は、絵から受けとれる深い精神性にはげしく打たれました。
信州でこの画家を紹介したいと、強く思いました。経歴をみてはじめて知りましたが、島ア藤村の三男として生まれています。その蓊助の全生涯の軌跡にふれたとき、そこからつむぎだされた彼の作品に、迷いなく企画展の照準はきまりました。
蓊助が精魂をかたむけて生きた青春の地、辛酸をなめつくして彷徨したドイツ、ハンブルグ。30年後はじめての個展のためにこの地を再訪した彼の、20数点に及ぶ作品は、蓊助の思想が煮つまるように凝縮された色、セピア一色で表現されています。
一枚の絵が一人の作家の全生涯を語りかけてきます。静謐で、はげしく美しい絵です。
今回の展示は、蓊助のドイツ、ハンブルグでのセピアの世界を中心に、彼が日中戦争の戦時下中国に渡ってスケッチした作品(馬籠 藤村記念館収蔵)と、蓊助が書き遺した164冊に及ぶ貴重な創作ノートの一部など、資料として展示出来ることになりました。
この展覧会開催を快く御承諾下さった蓊助のご子息島ア爽助氏と、御協力いただいた桐生の大川美術館、馬籠の藤村記念館、並びに銀座ヒロ画廊藤井公博、万博氏に深く感謝申し上げます。
今あらためて、真摯に、はげしく求めつづけて、83年の生を終えた島ア蓊助という一人の芸術家の、その彼が遺した作品と、貴重な164冊の創作ノートを、このまま埋れさせてはならないという思いにかられています。一人でも多くの方に御高覧願えますことを心から願ってやみません。
有明美術館 館長 松村 英
「父の絵」
「子は父の背中を見て育つ」・・・といわれてますが、私の場合、毎日アトリエの机に向かい、ひたすらノートに何やら難しい文章を書き続けていた父の後ろ姿を、こっそり開けっ放しのドア越しから見ていました。小学校・中学校の名簿に記載される父兄職業欄には父の職業は『画家』とされていたものの、それらしき気配など見ることもなく(稀に、雑誌の挿絵・単行本の表紙などは頼まれていましたが・・・)、父はいったい何者なのか・・・、とさえ思っていました。
また、家族で食事をしていても、話題は、スポーツやテレビ番組内容などにまつわる戯言ばかりで、藝術・絵画に関する話題などないようなものでした。
その父が、藤村の出版・編纂に関わる仕事にメドのついた1960年代末から、急にアトリエの整理整頓が始まり、神田・文房堂から買い込んだウィンザー&ニュートンの油絵具や、ロール巻き状のキャンバスで環境が一変し、あるときからキャンバスを打ち付ける音がし出し・・・、などと、着々と絵に取り掛かる準備をしていたのです。
この度、銀座・ヒロ画廊、(財)大川美術館、馬籠 藤村記念館のお力添えにより、安曇野・有明美術館において、父・島ア蓊助展を開催させていただくこととなり、感謝にたえません。
今回は戦中(1944年〜1945年)、中国戦線に名取機関の報道班員の仕事として遺された『取材スケッチ』と、1971年ドイツに旅行して描いた『セピアのシリーズ』から厳選された展観となります。また、藤村全集の編纂時代に書き続けたノートや、スクラップ帖なども展示いたしました。夫々、『取材スケッチ』からは父の従軍絵描きとしての姿を、また、『セピアのシリーズ』からは、藝術・文化・哲学の根幹を探ろうとしていた姿を通し、画趣対比と同時に島ア蓊助という人間の、紆余曲折なストーリーを併せてご覧いただければ幸いです。
島ア 爽助
※有明美術館ホームページ
有明美術館創立30周年記念企画
島ア蓊助展 セピアに込めた執着と解放
会場: 有明美術館(長野県安曇野市)
日程: 9月10日(金)〜10月11日(月) ※会期中は無休
時間: 9:00 - 17:00
主催: 有明美術館
協力: 大川美術館、馬籠 藤村記念館、ヒロ画廊、島ア爽助
後援: 毎日新聞松本支局、朝日新聞長野総局、読売新聞松本支局、中日新聞松本支局、信濃毎日新聞社、松本平タウン情報、市民タイムス
※ヒロ画廊で2010年2月に開催された島ア蓊助展特設ページ